**「忘れられた煙」**は、大阪・天満の道端で見つけた捨てられた1本のタバコをテーマにした写真作品です。日常生活の中で無意識に捨てられたこの小さな物が、背景の暗闇の中で強調され、静けさの中に語りかけるものがあります。

アスファルトの粗い質感と白いタバコの滑らかな表面が対比されることで、無機質でありながら感情的な何かを感じさせます。背景の深い暗闇は、タバコの吸い殻を際立たせると同時に、その周囲に存在する無限の物語を想像させます。この構図は、私たちが見過ごしがちな小さな日常の一コマを再認識させるものです。

また、モノクロームの表現により、色彩の情報が排除され、形状や質感、そして光と影のコントラストが際立っています。この作品は、人々の小さな行動が都市景観に残す痕跡を描き出し、観る者にその意味を問いかけます。

**「忘れられた煙」**は、都市の片隅に残る小さな痕跡を通して、人間の存在や行動の儚さを静かに映し出す一枚です。